横浜中華街。 いつ来ても、この街の熱気には圧倒される。 立ち並ぶ看板、飛び交う怒号のような活気、そしてどこからともなく漂うスパイスの香り。 歩いているだけで、胃袋が勝手に「準備運動」を始めてやがる。 今日はここか。 『重慶飯店 重慶茶樓』。 名高い四川の老舗でありながら、どこか懐の深さを感じさせる佇まい。 よし、今の俺の胃袋は、ここの熱い洗礼を求めている。 いざ、開演だ。
横浜中華街で店を探す
横浜・中華街。人の波、香りの渦。
こういう場所に来ると、腹の虫が妙に正直になる。
重慶飯店 重慶茶樓

今日はここ、
重慶飯店 重慶茶樓。
四川の名門。だが肩肘張らず、ふらりと入れるのがいい。
…さて、まずは様子見だな。

来た。オードブル。
鶏肉に、チャーシュー、そしてクラゲ。
――この取り合わせ、すでに勝ち筋が見えてる。
まずは鶏肉。
しっとり、やわらかい。そこにかかる胡麻だれのコク。
ああ、これはいきなり胃袋をつかみに来るやつだ。優しい顔して、なかなかやる。
クラゲ。
コリッ、コリッ…。この歯ざわり、落ち着く。
中華街に来たな、っていう実感がここで一気に立ち上がる。
チャーシュー。
甘みと香ばしさのバランスがいい。
派手さはないが、こういうのが皿全体を締めるんだよな。
――いいじゃないか。序盤から抜かりない。
次、青椒肉絲。
来た瞬間のツヤ。
これはもう、間違いないやつだ。
一口。
シャキッとしたピーマン、やわらかい肉。
そしてこの濃厚なタレ。油のコクがしっかりあるのに、重たくない。
…うん、箸が止まらない。
これは危険だ。白飯が欲しくなるやつだが、今日は我慢だ。
赤いパプリカがいいアクセントになってる。
見た目も、味も、ちゃんと考えられてる。さすがだ。
――そして、春巻き。
パリッ。
この音。
これだけで半分勝ちだ。
中は熱々。
具材の旨味がじゅわっと広がる。
油っこさはあるが、不思議と軽い。次を呼ぶタイプの春巻きだ。
海老のクルトン揚げにマヨネーズをちょいと。
…ああ、これは反則だろう。分かってるのに、やってしまう。
――さて、続きだ。
まだ腹には余白がある。いや、むしろここからが本番だ。
ここ、重慶飯店 重慶茶樓。
さっきまでで確信した。これは“攻めていい店”だ。
来た、点心。
蒸籠のフタを開けた瞬間の湯気。
この時点で、もううまい。
まずは…この緑のやつ。
翡翠色の皮、つるんとした表面。
一口。
…おお。
中はしっかりジューシー。皮はもっちり。
見た目の軽やかさと、食べた時の満足感のギャップ。いい。
小籠包。
これはもう、慎重にいく。
かじると――
じゅわっ。
熱い。だが、それがいい。
スープの旨味が一気に広がる。
これだよ、これ。点心の醍醐味。
――続いて、スープ。
蟹肉入り中華風コーンスープ。
とろみのある黄金色。
一口。
…やさしい。
コーンの甘み、蟹の風味。
どっちも主張しすぎず、でも確実にいる。
さっきまでの油を、すっと整えてくる。
これは“リセット役”だな。
ありがたい存在だ。
――そして、五目チャーハン。
見た目はシンプル。
だが、こういうのに店の実力が出る。
スプーンですくって――
…ほぐれる。
米が一粒一粒、ちゃんと立ってる。
油のまとい方が絶妙だ。
口に入れると、卵のコク、具材の旨味。
派手さはないが、ずっと食べていられるタイプ。
ああ、これは危ない。
無意識にスプーンが進むやつだ。
――そして最後、来たな。
麻婆豆腐。
赤い。
見るからに、ただ者じゃない。
一口。
…来た。
辛さ。だが、それだけじゃない。
痺れ。旨味。コク。全部が重なってくる。
豆腐はなめらかで、タレがしっかり絡む。
これはもう、“ご飯泥棒”どころじゃない。
さっきのチャーハン、残しておいて正解だ。
――食べる。
チャーハン、麻婆。
チャーハン、麻婆。
止まらない。
…はあ。
満たされた。
いや、これは“やられた”と言った方がいい。
前半の軽やかな入りから、
後半のこの重厚な締め。
見事だ。
夜の横浜中華街
――横浜中華街、恐るべし。
そして、
重慶飯店 重慶茶樓。
ここは、ちゃんと腹を空かせて来る店だな。
ごちそうさまでした。
孤独のグルメ井之頭風の食レポいかがでしたか。本編はこちらです。